健康な生活を送るために大切な各種ホルモンの分泌が増大                                                      古元嘉昭・岡山大学教授(現名誉教授)や山岡聖典・(財)電力中央研究所上席研究員(現岡山大学助教授)らは、鳥取県の三朝温泉に近い池田鉱泉水で、ウサギにラドンを吸入させる実験を行いました。その結果、インシュリン(糖分代謝)、メチオニンエンケファリン(鎮痛効果)、ベータエンドルフィン(爽快感)、アドレナリン(積極行動)などの健康を維持・持続するために大切なホルモンの分泌の増加が確認されました。

がん治療効果の向上                                              坂本澄彦・東北大学医学部教授(現名誉教授)は、長年にわたって放射線基礎医学の研究をしてきました。その研究成果を踏まえて、死亡率が高く難病とされている悪性リンパ腫について、がん組織に放射線を直接当てる従来の治療を行った患者と、従来の治療を行う前に少しの放射線を全身に当てる治療を複数回行った患者の治療効果を比較しました。その結果、治療後10年を超える追跡調査で、従来の治療法では生存率が50%であるのに対し、少しの放射線を全身に当てる方法を併用した治療法の場合では、生存率が84%という高い実績が得られました。                        (詳細)                                                     低線量全身照射と局部照射の併用によって、主に悪性リンパ腫(リンパ組織にできるがんの一種)の治療が行われています。これは坂本澄彦・東北大学医学部教授(現東北大学名誉教授)らの研究グループが20年以上前から基礎研究を始め、その研究成果に基づき、患者さんの承諾を得た上で、臨床治療を行ってきたものです。基礎研究では、低線量全身照射はがんの治癒率を高め、がんの転移を抑制する効果があることが証明されています。臨床で用いられる治療法は、先ず全身に1回当たり10cGy(この線量は通常の放射線治療で用いられる一回線量の20〜30分の1です)を週3回または15cGyを週2回照射し、全身照射から数時間後にがんの局所に200〜300cGyの照射をするもので、これを5週間繰り返す治療法です。従来の治療法によって治療された患者さんの生存率に比べて、この治療法で治療された患者さんは高い生存率が分かります。この効果は、低線量全身照射によりがん患者が失っていたがん免疫が賦活される(免疫力を回復する)ことによることが基礎研究で証明されており、また、臨床的にも免疫の賦活を示すデータが得られています。

がん抑制遺伝子p53が活性化                                         奈良県立医科大学の大西武雄教授は、坂本澄彦教授が用いた治療で効果があったのは、がん抑制遺伝子p53が活性化したからではないかと考えました。そこで、マウスの全身に少しの放射線(エックス線)を当てた後、6時間あるいはそれ以上経過してから、がん抑制遺伝子p53の作るタンパクが、各臓器の細胞内でどのように増減するのかを調べました。その結果、マウスのあらゆる臓器内の細胞でこのタンパクが飛躍的に増加することがわかりました。このことにより、がん抑制遺伝子p53が活性化していることが確かめられました。

酸化抑制酵素SODやGOxが増加                                          体内では日常的に呼吸したり食物をエネルギーに変換する際に副産物としてできる活性酸素やフリーラジカルが、DNAを損傷したり、細胞を死なせたりする原因の一つになっています。しかし、私たちの身体全ての細胞には、これらの有害な作用を抑制し、若い健康な体を維持するために大切なSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)やGPx(グルタチオンペルオキシダーゼ)という酵素があるのです。森昭胤・岡山大学教授(現名誉教授)や山岡聖典上席研究員らは、マウスの全身に少しの放射線(エックス線)を当てる実験を行いました。その結果、SODが飛躍的に増加することがわかりました。また、山岡聖典上席研究員や小島周二・東京理科大学助教授らによる同様の実験の結果、GPxについても飛躍的な増加が確認されました。

細胞膜の透過性が向上                                             細胞膜や細胞内にある核膜を通した物質の移動こそ、私達の日常における生命活動の基本です。しかし、毎日体内で行なわれている代謝の過程で発生する活性酸素やフリーラジカルなどによって、長い間に徐々にこれらの膜を構成する脂質が酸化され、過酸化脂質が増加します。その結果、膜の透過性が失われて、物質の移動がスムーズに行われなくなり、あらゆる生命活動が低下していきます。森教授や山岡上席研究員らによる、マウスに少しの放射線を当てる実験や、山岡上席研究員らによる、ウサギにラドンを吸入させる実験の結果、膜の過酸化脂質が減り、透過性が上昇することがわかりました。

            

低線量放射浴に興味のある方はこちらへどうぞ