多くの研究結果などから、少しの放射線は明らかに生物に有益な影響をもたらすと考えられる研究成果が得られています。これらの研究成果などを人の病気の治療に応用するとすれば、どのような可能性があるのでしょうか。最近の分子生物学など生命科学の知見をもとにまとめると、次のようなことが考えられます。

少しの放射線を受けた場合の医学的な効果は、身体が様々な条件に応じて生理的に反応すること(適応応答)が、その根底にあると思われます。少しの放射線による良い効果は、そうした防御反応の現れであろうと考えられています。現在判っているメカニズムをまとめてみると以下のようになります。

放射線、特にエックス線やガンマ線は物質を透過する力が大きいので、体の内部にまで届きます。放射線が身体を透過するときに身体の中で一番はじめにおこる出来事は、水分子が放射線によって分解され、反応性の非常に高いフリーラジカルの一種であるヒドロキシルラジカル (HO・) が出来ることです。全てはここから始まります。体は904EE5上が水でできていますので、いたる所でこのヒドロキシルラジカルができると考えてよいでしょう。少量の放射線は細胞内に刺激を与えるにとどまり、それが合図となって細胞の防御機能を高め、身体によい影響をもたらすことになります。

            〔病気治療への応用〕                                               鎮痛効果  
 少しの放射線を当てると、脳内ホルモンの一種で、様々な痛みを緩和する作用を持つメチオニンエンケファリン、ベータエンドルフィンなどの分泌が促進することが知られています。これは鎮痛作用を持ち、様々な痛みを緩和します。これらの物質を誘導するメカニズムは、まだ明らかにされていませんが、オーストリアのバドガシュタインやアメリカのボウルダーなどにある、ラドン温泉やラドン洞窟でのリュウマチ性関節炎、腰痛、筋肉痛などの痛みに対する治癒効果は、この鎮痛作用によるものでしょう。  

がん治療効率の向上と再発の防止  
  悪性リンパ腫では少しの放射線を当てる治療を、従来のがん治療と組み合わせると治療効率の向上がみられました。この方法は他の胃がんや肺がんなどの固形がんにも応用できる可能性があります。このメカニズムとしては、がん抑制遺伝子p53の増加、免疫機能の活性化によるがん細胞除去能力の向上が考えられます。    

病気の進行抑制  
 アルツハイマー病、糖尿病、ウイルス性肝炎をはじめとする難病の多くは、活性酸素によって組織内の細胞が次々に死んでいくためです。少しの放射線を当てると、細胞内のSODやGPxなどの酵素が細胞内に増加し、活性酸素などによる害を抑え、結果として病気の進行を抑える可能性があります。糖尿病については、マウスで病状の進行が抑制されたという実験データもあります。     

老化の防止  
  新陳代謝、細胞膜の保護、酸化を防御する機能、免疫機能など、老化に伴って一般的に低下するこれらの機能が、少しの放射線を当てることによって総合的に活性化され、老化の防止につながる可能性があります。

 

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